2010年06月03日

遺跡の発掘品はどこで展示すべき?――時代と空間のジグソーパズル(Business Media 誠)

ちきりんの“社会派”で行こう!:ピラミッドからパルテノン神殿まで、世界各地に点在している歴史的な遺跡。しかし、ちきりんさんは「遺跡がある場所と、遺跡からの発掘品が展示されている場所が異なっていることがある」と主張、その是非を論じます。

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 ちきりんは大の旅行好きなのですが、古代遺跡を巡る旅の際、いつも頭をよぎることがあります。それは「もしもここにすべてが揃っていたら、どんなにすばらしいだろう」ということです。

 ご存じのように大英博物館には、エジプトの遺跡から出た多くの発掘品や、ギリシャのパルテノン神殿のすばらしいレリーフが展示されています。パリのルーブル美術館はモナリザなどの絵で有名ですが、イスラム世界や古代オリエント時代のコレクションも圧巻です。ドイツの博物館でも、中近東やイスラムの遺産を観賞できます。

 一方、ギリシャに行けばパンテオン宮殿の骨格は残っていますが、最もすばらしいレリーフはイギリスに行かないと見られません。教科書に必ず登場するロゼッタ・ストーンも、エジプトにはレプリカしかなく、本物は大英博物館にあります。

 ちきりんは欧米の大きな博物館も大半は訪れたことがあるので、ギリシャやエジプトの遺跡では、過去にロンドンやパリで見たすばらしい発掘品やレリーフを思い浮かべ、頭の中で合成した図を想像しながら当時の様子に思いをはせます。時間と空間を越えてバラバラにされたジグソーパズルを頭の中で組み立てるような作業をしながら楽しむのです。

 そんな時いつも考えるのは、「すべてがオリジナルの場所に揃っていたら、どんなにすばらしいだろう」「でも、本当にそれが一番いいんだろうか?」ということです。

 例えば、博物館の収蔵品を持ち帰った当時の欧米諸国は、経済力や軍事力において圧倒的でした。大半の遺跡は欧米の調査団が最初に発見しており、彼らはそれらの多くを無料かつ無断で祖国に持ち帰っています。「いや、合法的に購入したはずだ」と主張する場合でも、実際には遺跡が発見された土地の所有者であった農民に10ドルほどを渡して、発掘品を“正式に”購入したようなパターンも多いのです。

 中国はこれを非常に問題視していて、中国の遺跡に行くと説明パネルで「いかに欧米の人たちが中国の財宝を勝手に持ち帰ったか」が説明されています。敦煌の莫高窟では「欧米人が壁の絵をはがして持って帰った」という話のほかにも、「ロシアの軍隊が莫高窟を宿舎に使い、その中で煮炊きをして多くの壁画がすすにまみれ剥落した」といった記載もあります。

 そういうことを、莫高窟を訪れた自国民、そして他国の観光客に積極的に知らせようとする中国の姿勢には興味深いものがあります。実は日本の浮世絵も海外の美術館にすばらしいコレクションがありますが、ああいったものが海外に流出した経緯を聞くことは日本ではほとんどありませんよね。

●欧米の調査隊が持ち帰っていなかったら?

 ところで、もし欧米の調査隊が自国に持ち帰っていなかったら、それらの発掘品はどうなっていたでしょうか?

 欧米の博物館は発掘品や財宝を保存するため、最先端の技術を適用しようと多額の費用をかけていますし、修復や調査にも膨大な手間をかけています。彼らの調査によって、新たに分かった古代の事実も多いのです。また、多くの国ではそれらの財宝を無料もしくは非常に安い入場料で誰でも鑑賞できるようにしています。

 一方、古代遺跡がもともとある国の多くは、少なくとも今までは自国の遺跡保護のために多額の資金を投入することは不可能だったでしょう。風雨にさらされて毀損してしまうかもしれないし、盗掘や盗難も日常茶飯事です。

 ちきりんがエジプトの遺跡を訪ねた時、壁画の色あせを防ぐためにフラッシュの使用が禁止されている遺跡内で、「10ドルを払えば、フラッシュで写真撮り放題にしてあげるよ」と持ちかけてくるガイドに何人も会いました。アフガニスタンではタリバンがバーミヤンの石仏を破壊してしまいましたが、宗教的な対立が続くエリアでは何千年も前の貴重な歴史の残存物さえぞんざいに扱われています。

 ある意味では「欧米諸国の調査団が大規模に持ち帰ったからこそ、ベストな状態で今まで保存されてきた」とも言えるのです。

●北京と台北、2つの“故宮”

 もちろん、「現地で毀損するなら、それもまた歴史のひとコマと考えるべき」という意見もあります。古くから文明が栄えた地では、多くの遺跡が“多層”になっており、「一番外側の石をはがしたら、別の時代の遺跡が出てきた」という例はよくあります。「新しい文明が興ると、古い文明の遺産が塗りつぶされる。それこそが歴史だ」という考え方もあるでしょう。

 この意味で興味深いのが、北京(中国)の故宮(紫禁城)と、台北(台湾)の故宮博物院です。蒋介石が台湾に移る時、故宮の財物のうち価値あるものの大半を運び出しました。そのため、財物、特に小さいモノに関しては、「一流のものほど、北京ではなく台北にある」と言われます。

 一方、北京の故宮には中身は何もありません。なにもありませんが、あの建物、あの広さ、あの場の持つ雰囲気は、いくら台湾がお金をかけて故宮博物院を整備しても、決して真似できない力を持っています。

 台北の故宮博物院に行くと、「これらの作品があの北京の故宮にあったら、どんなにすばらしいか」と思います。お手本となるのがイスタンブール(トルコ)のドルマバフチェ宮殿です。ここでは巨大な宮殿建築の中に、ソファやテーブルなどの家具、食器などの日用品、アクセサリーなどの宝石、装飾品までがきれいに揃っており、往時のオスマン帝国の力と生活様式をとても具体的にビビッドに思い描くことが可能です。故宮に関しても建物と中身を1カ所に合わせれば、驚嘆すべき過去の世界が再現できるでしょう。

 ただ、器である建物が北京に、中身の財宝が台北に存在していることこそが、中国の歴史を象徴しているとも言えます。最近は共同展示会の試みなどもあるようですが、それらが同じ場所で展示されることがあるとすれば、それは“歴史”自体がそう動いたタイミングと重なることになるでしょう。

●奈良の大仏が大英博物館に展示されていたら……?

 ちきりんは、中国と台湾を行き来しながら、それらが故宮にあった時代を想像するのが大好きです。ペルガモン博物館(ドイツ)のイシュタール門と古都バビロンの風を、大英博物館の展示とエジプトの砂漠を、ピカソ美術館(パリ)の一室とバルセロナの太陽を組み合わせ、時間と空間を使ったジグソーパズルを1つずつはめていくことに心を奪われます。

 実は最近、エジプトや中国などを中心に、流出した自国の古代文明の至宝について、返還要求をする動きも出てきています。

 みなさんは奈良の大仏がずっと昔に外国に売られていて大英博物館に展示してあったら、「返してほしい」と言いますか? 金閣寺は1950年に放火されて消失していますが、もしもその前に米国が解体してニューヨークに運んでいて、メトロポリタン美術館で今でも本物が見られたとしたら、ありがたいと思いますか?

 簡単に解決する問題ではありませんが、これからは多くの国の人たちが「歴史の遺物はどこに存在するべきか」という問いについて、考えなくてはならなくなるでしょう。

 ではまた来週。

※本記事は、「Chikirinの日記」において、2006年5月25日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。

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2010年05月29日

首相、究極の“二枚舌” 「辺野古」明記せず 普天間移設政府方針(産経新聞)

 政府が28日の閣議決定を目指す米軍普天間飛行場移設問題に関する政府方針に「名護市辺野古」と明記しない方針を決めたことは、鳩山政権のその場しのぎで無責任な体質を象徴している。鳩山由紀夫首相にかかるとすべてが玉虫色となる。配慮を示した相手である社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相からも「二枚舌」と批判されても仕方あるまい。

 26日夜、首相官邸3階のエントランスホール。公邸に帰宅途中の首相はいきなり記者団に歩み寄り、2枚の写真を誇示してみせた。昨年11月のオバマ米大統領訪日の際に写した首相、幸夫人それぞれの大統領とのツーショット。これが米国から送られてきたことがよほどうれしかったようだ。

 ≪重み感じぬ言葉≫

 わずか一時間半前。首相は、閣議にかける政府方針について厳しい表情でこう表明した。

 「私が申し上げた方針は変わることはない」

 政権は存亡の瀬戸際にあるが、首相の自覚は乏しい。というより、首相が何を言おうともはや誰もその言葉に重みを感じない。

 26日午後には、首相は官邸で喜納昌吉参院議員ら沖縄選出の民主党所属議員と懇談した。喜納氏は記者団にこう語った。

 「首相と話した中では、首相は県外、国外はあきらめていない感じがする」

 会った相手につい調子を合わせてしまう。そんな首相の本心がどこにあるにしろ、政府方針から移設先を外すやり方はいただけない。国民の生命・財産に直結する安全保障問題であっても、当座さえしのげばよいとの思惑が丸見えではないか。「二重基準で、国民の理解は全く得られない」との福島氏の反発は至極もっともだろう。

 ≪議論避けたツケ≫

 鳩山政権は出発点から安全保障問題を軽視し、本質的議論を避けてきた。民主、社民、国民新3党の連立合意には「在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」とあるだけ。どう解釈するかは各党任せにしてきた。

 そのツケがいま回ってきているわけだが、首相は「昨年中」とした普天間問題の決着を「3月いっぱい」と言い換え、できないとなると「別に法律で決まっているわけじゃない」と言い逃れた。「命がけ」で「職を賭し」て臨む「国民との約束」だとした5月末決着も「達成できなかった」(岡田克也外相)にもかかわらず、依然、政権の座に居座ったままだ。

 国民も米国も社民党も口先で欺き、玉虫色決着の連発でごまかそうとしても、その手口はもう見透かされている。(阿比留瑠比)

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2010年05月27日

医師確保対策などで要望書−全自病など(医療介護CBニュース)

 社団法人全国自治体病院協議会(全自病)と全国自治体病院開設者協議会はこのほど、医師確保対策など12項目から成る要望書を長妻昭厚生労働相らにあてて提出した。

 要望書では、「医療の貧困」とも形容すべき状況を打開し、医療の質を確保しつつ持続可能な医療提供を行うため、要望書に掲げた諸施策を速やかに実行に移すとともに、医療分野に必要かつ十分な資源配分が行われるよう、総力を挙げて取り組むよう強く求めている。

 具体的には、医師確保対策のほか、▽新型インフルエンザなど新興・再興感染症対策▽社会保険診療報酬の改定▽医師の臨床研修の円滑な推進▽公立病院改革プラン等▽看護師確保対策▽定員合理化計画▽精神科医療▽財政措置等▽医療機関連携の推進▽地方公営企業会計制度の見直し▽高度な放射線治療の推進-の11項目を要望。
 医師確保対策については、医師不足の一因として「我が国に医師の適正配置の仕組みがないこと」を指摘。各都道府県に設置されている「地域医療対策協議会」を活用し、きめ細かな制度的な措置を講じるなどの仕組みを早急に構築することなどを要望している。
 また診療報酬改定では、今年度の改定が10年ぶりにネットでプラスとなったことについて「一定の評価ができる」としながらも、「200床未満の中小規模病院への評価が十分とは言い難い状況」と指摘。「地域特性の考慮」などの課題について、自治体病院が担っている診療機能を十分評価した上で、医療技術の適正な評価と医療機関の機能的コストなどを適切に反映した診療報酬体系にすることなどを求めている。


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